Twitterでリクエストがあったので、今回は「香料業界について」というタイトルで記事を書きました。
香料とは、主に食品香料(フレーバー)と香粧品香料(フレグランス)に分かれます。前者は飲料、冷菓、菓子、即席麺等の加工食品に、後者は化粧品やトイレタリー等に使われます。フレーバーとフレグランスの世界市場規模はほぼ同規模を言われております。 各社ともに育成に時間のかかる熟練した香りを調合するフレーバーリスト(フレーバー)やパフューマー(フレグランス)を抱え、香料生産への設備投資もあり、新規参入の障壁が高い業界です。 香料の原料は、ラベンダーやシナモン等の天然由来の成分、化学合成による成分の2種類があり、日本の香料会社は香料の原料をほぼ輸入に頼っている状況です。(出典:http://ataglance.blog.so-net.ne.jp/2016-03-03-2)
香料業界の世界市場規模は約2~3兆円程度と推計されています。(出典:長谷川香料株式会社「香料の科学 (KS化学専門書)」講談社.2013)
※ 2018年2月13日において最新の決算を参考にしています
それでは国内主要(大手)4社をご紹介します。
①高砂香料株式会社
資本金:92億
連結売上高:136,764百万円
営業利益:7,159百万円
営業利益率:5.2%
有利子負債:52,801百万円
自己資本比率:48.4%
香料業界国内1位です。世界では5位です。
高砂香料の強みは、国内大手の中でもいち早く(1960年代から)海外展開をしてきたことです。また、国内だけではなく、海外にも多くの拠点があり、地域密着型の事業展開をしているところが特徴です。面白いところは、香りの世界で最先端の流行をキャッチするため、ニューヨークとパリに駐在所があるところです。今はインド市場を開拓しているみたいです。
②長谷川香料株式会社
資本金:53億
連結売上高:48,001百万円
営業利益:5,606百万円
営業利益率:11.6%
有利子負債:8百万円
自己資本比率:79.6%
香料業界国内2位です。世界では11位です。
長谷川香料の強みはとその収益率の高さです。小川香料は不明ですが、高砂香料も曽田香料も営業利益率は5%前後のところ、長谷川香料の営業利益率は10%を超えています。
詳しい製品の技術の話はわかりませんが、経営戦略によると、競合他社とは異なる特徴のある差別化された製品開発に力を入れているみたいです。ここに高い営業利益率の秘密が隠されているかもしれません。
よく見たら自己資本比率がかなり高く、また負債もほとんどないですね。かなりの優良経営ができていると思われます。
③小川香料株式会社
資本金:3億4,100万円
連結売上高:24,335百万円(2016.12)
営業利益:不明
営業利益率:不明
有利子負債:不明
自己資本比率:不明
香料業界国内3位です。
非上場であるため、あらゆる情報が非公開でした。
小川香料には、大きくフレーバー事業とフレグランス事業の2つのビジネスがあります。
フレーバー事業の強みは、お客様が望む香りのコンセプトにあった香料を、スピーディに開発できる体制が整っていることです。
フレグランス事業の強みは、香料を最終商品に応用するアプリケーションにすぐれたノウハウを持っていることです。
どちらの事業でも、営業はコンサルティングに力を入れており、迅速な課題解決のため、お客様のニーズを素早くキャッチし、開発部隊に1秒でも早く伝えるための体制が整えられているらしいです。
④曽田香料株式会社
売上高:15,250百万円
営業利益:525百万円
営業利益率:3.4%
有利子負債:408百万円
自己資本比率:74.1%
香料業界国内4位です。
2017年の12月に上場廃止し、東レと三井物産が株主になったみたいです。(http://www.soda.co.jp/ir/ir_files/1_171025_1.pdf) 確か東レが66%を保有し、残りを三井物産が保有していると思います。
曽田香料の強みは、高度なファインケミカル香料技術を応用し、医農薬の中間体から感光剤原材料や電子素材まで様々な分野へと事業領域を広げているところです。また、香料業界の中でも、いち早く香料の工業化に取り組み、工業系香料に関しては世界でも高いシェアを誇り、多くの特許を保有しています。
ちなみに、人の皮膚上にいる悪玉菌の繁殖を抑制し肌を清浄に保つ効果のある抗菌香料など''機能性香料''の研究開発にも力を入れているみたいです。
~海外競合他社~
ジボダン(スイス)
香料業界世界1位です。
ここはコカ・コーラ社にバニラフレーバーを納めているそうです。
フィルメニック(スイス)
香料業界世界2位です。
非上場企業です。
IFF(米)
シムライズ(独)
ワイルドフレーバーズ(スイス)
非上場企業です。
マン・フィス(仏)
非上場企業です。
ロベルトSA(仏)
フルタロム(イスラエル)
スイス企業が強いですね。
世界1位のジボダン、世界2位のフィルメニックともに、ノーベル賞受賞者を雇い、多額の予算を研究開発に充てているらしいです。
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