本記事は「半導体製造装置業界について①(http://tapt.hatenablog.jp/entry/2018/02/19/230359)」の続きになります。
主要(大手)企業のご紹介の前に後工程もご説明します。
~半導体の製造工程[後工程]~
①バックグラインド
↓
②ダイシング
↓
③ダイボンディング(マウント)
↓
④(ワイヤ)ボンディング
↓
⑤モールディング(封止)
↓
⑥メッキコーティング
↓
⑦フォーミング
↓
⑧マーキング
↓
⑨製品検査
後工程の詳細については(東芝HP>半導体製造エンジニアリング http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm)を参考にしてください。
~各工程で強みを持つ企業~
①東京精密、ディスコ
②ディスコ
④キューリック&ソファ(シンガポール)、新川
⑦石井工作研究所、太洋電産
⑧アマダミヤチ、芝浦メカトロニクス
⑨東京精密、レーザーテック
後工程に関しては、中小企業が目立っている印象にあります。
全工程(前後)の詳細については(ソニーHP>ソニーセミコンダクタマニュファクチュアリング株式会社>半導体ができるまで https://www.sony-semiconductor.co.jp/seihin/handoutai)を参考にしてください。
ちなみに①のバックグラインドにはテープ加工が施されるのですが、このバックグラインドテープは日本企業がシェアをほぼ独占しています。
1位:三井化学
2位:リンテック
3位:日東電工
4位:古河電気工業
※富士キメラ総研2016年データより
それでは、日本の主要(大手)半導体製造装置メーカーをご紹介していきます。
※2018.2/22現在の最新のデータ
東京エレクトロン株式会社
資本金:549億円
連結売上高:799,719百万円
営業利益:155,697百万円
営業利益率:19.4%
有利子負債:0
自己資本比率:67.2%
半導体製造装置世界4位、国内1位の企業です。米アプライドマテリアルズとの経営統合は破談に終わりました(独占禁止法に抵触するため)が、そこからは単独での成長を狙っています。
好財務です。
東京エレクトロンの強みは商社からスタートしたこともあり、なんといっても商売が上手いところです。
東京エレクトロンは元々、日商岩井(現:双日)出身の商社マンが海外の半導体製造装置メーカーを国内に輸入する専門商社として事業を興したのが全ての始まりでした。
そこから、自分たちでも半導体製造装置を作り始め、国内外に納入するようになりました。長い年月をかけて技術を磨き上げると共に、商売のノウハウも積み上げていきました。
その証拠として、高い営業利益率を誇ります。東京エレクトロンの考え方として、利益(率)を大切にしており、高い利益はお客様に貢献したことの「証」として誇っているらしいです。
株式会社SCREENホールディングス(旧:大日本スクリーン)
資本金:54,044百万円
連結売上高:300,233百万円
営業利益:33,731百万円
営業利益率:11.2%
有利子負債:14,985百万円
自己資本比率:47.5%
半導体製造装置世界6位、国内2位です。
SCREENディングスの強みは、技術力の高さです。その証拠として、世界トップシェアを持つ製品が複数あります。半導体製造装置事業だけでも
松葉式洗浄装置(世界シェア40%)
バッチ式洗浄装置(世界シェア72%)
スピンクラバー(世界シェア60%)
3つも世界シェアを持っている製品があります。
売上高としての規模が小さくても高い技術力を誇っているのがSCREENホールディングスの強みです。
ちなみに他の事業でも世界シェア製品を持っています。
しかし、マーケティングが弱いのか、東京エレクトロンの商売が上手すぎるのかは分かりませんが、技術力の割に営業利益率が低い印象にあります。
株式会社アドバンテスト
資本金:32,363百万円
連結売上高:155,916百万円
営業利益:13,905百万円
営業利益率:8.9%
有利子負債:44,745百万円
自己資本比率:47.3%
半導体製造装置世界7位、国内3位です。
アドバンテストは半導体製造装置というよりも半導体試験装置がメインです。
アドバンテストは元々、計測の分野に特化したベンチャー企業からスタートしました。計測の技術を応用し、半導体の検査装置へと事業領域を拡大させてきました。
半導体の製造工程では、製造装置により、ウエハー(半導体素材)の上に電子回路を形成した後、回路に信号を流し、正常に動作するかどうかを試験しますが、アドバンテストはこの試験装置(いわゆるテスター)に強みを持ち、約40%で世界シェアトップを誇ります。
また、研究開発に力を入れており、不況時においても、売上高に占める研究開発比率が最低10%はありました。2015年では、売上高に占める研究開発比率が19.6%あります。
資本金:7,938百万円
連結売上高:644,545百万円
営業利益:53,107百万円
営業利益率:8.2%
有利子負債:0
自己資本比率:60.7%
半導体製造装置世界9位、国内4位です。
特徴は、商社機能を備えたメーカーということです。
強みとしては、日立グループの1つであり、日立グループ全体が持つノウハウや技術力を活用できる環境にあることです。また、本体の日立製作所の研究開発施設を利用し、日立グループの顧客と共同研究ができることです。
要するに日立グループ全体のパワーや販売網や技術力を利用でき、シナジー効果が見込めます。
半導体製造装置関連には他にも
株式会社ニコン
株式会社日立国際電気
レーザーテック株式会社
等があります。
日立国際電気は少し前にKKR(投資ファンド)のTOBで話題になっていました。
ディスコはここ最近、最高益を更新し続けており、かなり絶好調ですね。
~海外競合他社~
アプライド・マテリアルズ(米)
半導体製造装置業界世界1位です。
全ての工程の装置の製造を行っている半導体製造装置の総合メーカーです。
成膜工程装置でおよそ半分のシェアを握っています。
ラムリサーチ(米)
半導体製造装置業界世界2位です。
ASML(蘭)
半導体製造装置業界世界3位です。
ArF液浸露光装置でほぼ独占状態です。
KLAテンコール(米)
半導体製造装置業界世界5位です。
テラダイン(米)
半導体製造装置世界8位です。
非メモリのテスターでは半分のシェアを握っており、圧倒的トップ。
Twitterやってます
@tapt_
良かったらフォローよろしくお願いします。